本の感想:学校に行かない僕の学校

本や映画の感想

二人の不登校児の母なので、不登校の子供がでてくる本は気になってつい手に取ってしまいます。

今回は、最近発売されたばかりの本について紹介します(*^_^*)。

学校に行かない僕の学校
尾崎英子 著
ポプラ社
2024年5月

あらすじ

主人公の薫は中学2年生の男子。

とある出来事をきっかけに学校に行けなくなってしまい、家に引きこもってしまいます。
しかし、学校に行かない薫を認めない父やスマホばかりに関心を寄せるように見える姉・・・

そんな家にも居場所を感じられずにいます。

心配した母親が取り寄せた、いくつものフリースクールのパンフレット。
その中から、薫が選んだのは全寮制のフリースクール、「ツリースクール」

物語は、数年後と思われる薫が河川敷に向かうところから始まります。
バラの花束を持つ薫。

そして、一気に過去へと物語はさかのぼります。

ツリーハウスで薫が出会ったのは、同じ中2の男子、銀河。
そして、同じ日に入寮した中2の女子、イズミ。

そして、子供たちを見守るフリースクールの大人である、まいまい、まど兄、ばんちゃん。

中1のやんちゃぼうず、寛太、まいまいの娘の中3の音夢(ねむ)。

近所に住む初老の女性、斉藤さん、他、ツリースクールに住む生徒たち。

川そばに立つツリースクールはその川を越えたところから、まるで異世界かのよう。

そんな場所で薫は森に学び、少しづつ心をほぐしていきます。

同じ中2である銀河やイズミとも徐々に親しくなり、心の重しをはがしていきます。
後半に訪れる悲しい事件を経験し、薫たち3人はそれぞれの過去と向き合い、おぼろげな夢を見つけて、ツリーハウスを巣立っていきます。

感想

登場人物それぞれが、何かを抱えており、その抱えているものを見つめ、自分で考え、決断し、前に進んでいこうとする姿がとても清々しく感じます。
自分が抱えているものに向き合うのに少しだけ時間がかかってしまった主人公の薫。
今どきの普通の男の子だなととても共感しました。

このフリースクールはあまり勉強しないことに疑問を感じまど兄に聞く薫に対してのまど兄の答え。
「勉強は森の中でもやっている」
自分で考えることが大事なんだ、と。
今の学校は考える前に与えすぎていると思う、やっていることはどれも大切なことだけど、
提案されたことをこなすだけでは子供たちは何が必要で何が必要でないのか考える余地がなくなりつつあると思う、と。

ほんとにそうだなと思いました。仕事をしていると、どうして言われたことしかできないんだ!もっと考えろ!っていうのに、
学校では、覚えること、こなすことを教えていて、考えることは教えきれていないのかもしれない。。。
考えることを学ばずに育ってしまうことの怖さを母親として感じてしまいました。

不登校の子供は怠けているという人もいるけれど、本能的にそういうシステムに拒否反応を示しているのかもしれないですね。

主人公たちはそれぞれに心の傷を抱えています。

そんな主人公たちに斉藤さんが教えます。

話すことは離すこと。

心の痛みを誰かに話すことで、その痛みは離れていくと。

確かに、そうだなぁ。つらい経験は話すことで少しづつ浄化していく、そんな気がします。

物語全体に、柔らかい光があふれているような印象で、映画になったら、こんな感じかなぁ、主人公の薫は誰かなぁなんて、
妄想しながら、読み進めていきました。

小学校高学年以上向けの本ではありますが、大人になった今読んでも、心がきれいになるような大切なことがたくさん書かれている本だなと思いました。

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