先日、一人旅に行ってきました。
一人旅って、ひまな時間も多いので、読書するには最適なんです。
というわけで、今回の一人旅にはずっと積読になっていた本を持参しましたヽ(^o^)丿
クララとお日さま
カズオ・イシグロ著
あらすじ
AIロボットのクララは、子供たちの親友になる存在「AF」として、とある店で販売されています。
その店でクララは病弱な少女ジョジーと出会います。
物語は、このAIロボットであるクララの目線で語られていきます。
「向上措置」によって、病弱になったらしいジョジー。
学校にはいかず、「オブロン端末」で学習することが当たり前らしい、その世界。
持つものと、持たないものの間のコミュニティーの分断。
そのような世界が全く説明なく、当たり前のものとして、クララの中で語られていきます。
クララと暮らすようになってからも、ますます弱っていくジョジー。
お日さまの力を信じるクララは、ジョジーを助けるため、献身的な行動をとっていきます。
私の感想
この本は、本屋さんをふらふらしていて、一年近く前に購入していました(;^_^A
表紙絵がかわいくて、気に入ったのと、いつかカズオ・イシグロに再チャレンジしたいと思っていたので。
実は、一度、カズオ・イシグロは「私をはなさないで」で挫折しています。
いろいろ想像して、怖すぎて無理だったんですよね~(;^_^A
さて、感想。
「AF」「向上処置」「オブロン端末」・・・
この世界の独特の言葉が、何の説明もなく、当たり前のものとしてクララの口から語られていきます。
それが、すごく気持ち悪いし、こわい・・・
得体のしれぬものを前にしたときに湧き出てくる嫌悪感を感じました。
そして、前に挫折した「私をはなさないで」と同じ気持ちの悪さを感じました。
やっぱり、カズオ・イシグロだわ・・・。
語り手であるロボットのクララは、物語に出てくる人間たちよりも、ずっと純粋であるかのように描かれています。
でも、クララはロボット。
その感情もすべて、学習された感情なんです。
「悲しい」も「喜び」も・・・。
人間たちの感情の中にどす黒いものを感じてしまうから、余計にクララの感情が美しく見えてしまうように描かれています。
持っているものが、持っていないものたちに対して、さげすんでいる感情。
持っていないものが持っているものに対して、反発する感情。
人間たちのそんな感情だけが、強く表現されているように思いました。
そして、人間たちの「分断」が強く表現されていて、そんなところも怖いと感じました。
少し先の未来がこんな風になるのは嫌だな。
AIってこれからの時代には大事だけど、こんな未来は嫌だな。
これが正直な感想です。
このお話、映画化の話があるそうです。
この世界観をどうやって映像で表現するのかしら。
ラストのクララをどうやって表現するのかしら。
見たい気持ちと、見たくない気持ちが入り混じります。
でも、やっぱり見てみたいな。